19人が本棚に入れています
本棚に追加
* * *
ガラハドはアジトの外で一人煙草を吹かせて一服していた。
最近どうも怪しかった若頭が何かしでかすのではないかと思っていたが、ここまで予想通りに動くとは、単純なのか賢いのかわかったものではない。
しかしながらヨシュアが単独で動く時は、何かしらの考えがあってのことだ。
危ない橋を一人で渡ろうとしたのかはガラハドにはわからないが、自分一人で完結してしまおうと思っていたのか、何か勝機を掴もうとしたのか、どちらかであろう。
他人には滅法残忍な男ではあるが、ヨシュアは自分の下につく者には情けをかける。
決して宝を一人占めするような器でもなければ、仲間を見捨てるような器でもない。
そんな少年だからこそ、ガラハドは長[オサ]から離れ、彼についていこうと決意できた。
もちろん今回のことはヨシュア自身の責任ではあるが、その相手に何も感じていないわけではない。
自分たちの頭がやられて何も感じない程、ガラハドは冷めた性分ではない。
やれるものなら報復でも、と思うがそうしてはヨシュアが怒ることは目に見えている。
「余計なことすんな」と自分を睨んでナイフでも突きつけてくる場面が容易に想像できる。
ヨシュアの性格や地雷など、ガラハドは十分すぎる程把握していた。
伊達に十数年一緒にいるわけではない。
最初のコメントを投稿しよう!