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「ごめんなさい……。わたしが、わたしが……ヨシュアにひどいことしちゃったの」
可憐な幼い少女が言った言葉が、一瞬理解できなかった。
まるでちょっとした悪戯のように言ってのけるが、今日ヨシュアは死人のような顔でくたばっていたのだ。
きっと怪我の完治は一週間程度ではない。
それ程の怪我を、この少女がやったというのか。
ガラハドは理解に苦しみ、思わず少女とクレドを見比べた。
可能性ならば犯人はクレドの方が圧倒的に高い。
こんなもやしのように頼りない少女に一体何ができるというのだ。
あのヨシュアに。
「銃をしまえ。別にお前等と喧嘩しにきたわけじゃない」
ガラハドはもう一度キリエを見た。
見ていると可哀想になるくらい悲しそうな顔をしている。
本当に泣き出し兼ねない。
他よりも人を見抜くことに長けているガラハドは、構えた銃を下に下ろす。
クレドの言っていることは嘘ではない。
「そうかい。なら話を聞こうか、嬢ちゃん」
小さく笑ってそう言うと、キリエは安心したようにホッと息をつく。
「待て。その前に銃をロックしてしまえ」
すかさずまだ手にしている拳銃を指摘するクレドの警戒心の強さに、ガラハドは困ったように苦笑してセーフティをかけてベルトにつけ直した。
「これでいいかい」
「まだだ。他の奴等が来ても鬱陶しいから場所を移動したい」
「それは罠か?」
「違う。俺とキリエ以外はいない」
「証拠は?」
証拠などないに決まっている。
二人以外人がいないことは、どうやっても証明などできないのだから。
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