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二人が入っていったのは、クレドと一緒なら無料で入れるホテルだった。
恋人のように腕を組んで部屋の鍵をもらうと、クレド達は慣れたように部屋に入っていった。
「今日はいくらだっけ?」
「ふふふっ、5万」
綺麗な細長い指5本を開き、下から上目で見詰める彼女に、クレドは頷いた。
そして赤く膨らんだ唇に自らの唇を押し付けた。
――ここは貧困地区【フォレスト】。
普通の街で生活を送ることが困難になった人がぞろぞろとやってくる無法地帯。
比較的ホームレスが多く、自宅を持つクレドはフォレストでは裕福な方である。
15歳であのガーネットを出たクレドは、この地へやってきてある人に拾われた。
そこでの仕事といえば、屋台の個人営業店か首都と繋がっている裏営業か、水商売の類だけである。
個人営業店を開けるような人柄でもないし、首都との繋がりもないクレドは、女達に色を売る男娼[ダンショウ]になった。
【アリエル】という男娼館の女性オーナーに拾われたのがきっかけである。
資金調達が第一の目的だった彼は、商売方法なんてどうでも良くて、とりあえず給料の良い男娼を始めた。
この女もクレドの上玉常連客の一人で、やたらと彼ばかりを指名する。
幼少の頃からは想像もつかない程逞しく育った彼は、フォレストではかなり有名だ。
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