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ヨシュアが機能できない今、なるべくアジトから離れたくはない。
「お前等にとって悪い話じゃない」
「ほう」
「俺は何もしない。キリエが手を貸してやるだけだ」
「その嬢ちゃんが?」
いまいち先の見えない話だが、この二人は決して悪人なわけでない。
「どれくらいかかる? 俺としては、あんまり此処を離れたくはねえんだが」
「問題ない。5分もかからない」
ガラハドはチラリとアジトを振り返り、もう電気の消えた一室を確認した。
「わかった。話を聞こう」
キリエは萎んだ顔を綻ばせ、「ありがとう」と小さく礼を言った。
はたから見れば珍しい組み合わせの二人に連れられたのは、アジトからちょうど見えない位置にある曲がり角だ。
そこで対峙する三人には妙な空気が漂っていた。
完全に敵なわけではないが、もちろん味方なんてものでもない。
表面上は愛想よく笑っているガラハドだがその内はどうか。
「で、そっちの嬢ちゃんが一体何をしてくれるってんだい?」
ガラハドは腰に手を当て、もう片方の手でキリエを仰ぐ。
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