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ガラハドとクレド、二人に視線を向けられたキリエは一瞬怖気づくも、ギュッと小さな手を握り締めて大きな男を見上げた。
「あのね、ヨシュアに怪我……させちゃったのは、わたしなの」
「ほう」
「だからね。その、ヨシュアをね」
再度告げられた言葉に、もうガラハドは疑いを持たなかった。
キリエがあまりにも必死な様子で言葉を紡ごうとしているのだから、あまり疑うのは可哀想だと思ったからだ。
「わたしが……、あの……怪我、なおしてあげたいの」
その言葉を聞いて、ガラハドはすぐに悟った。
彼女がパンドラであることを。
まだ幼く見えるが力だけは一丁前にあるのだろう。
「治癒のパンドラ、か」
先を言わずとも察したガラハドに少なからずクレドは感心したように、「へぇ」と小さく言った。
「わかった。そういう事なら、俺からも頼もう。若を治してやってくれ」
怪我を負わせたのは間違いなくキリエだが、その怪我を今すぐに治せるのも、現状キリエしかいない。
それにキリエからは悪意は見られない。
ヨシュアは嫌がるだろうが、そんな弟分の苦しむ姿もあまり長くは見たくないのだ。
力強く頷くキリエを確認して、ガラハドは二人を連れアジトの裏口へと誘導した。
ガラハドが提案した作戦はこうである。
本来は敵であるクレドをトルガー盗賊団の団員達の目に晒すわけにはいかないので、クレドとキリエを団員達に見つからないようにする。
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