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「この嬢ちゃんが若の骨をくっつけてくれるとさ」
「……はあ? ふざけてんのか、テメェ」
ヨシュアは一瞬目を見開くも、すぐに怪訝な顔つきになった。
「茶番に付き合ってる気分じゃねえんだよ……さっさと、帰れ」
一体何が起こるのかと思いきや、ヨシュアにとっては意味の分からないことを言われイライラが増す。
痛みを伴うから喋りたくもないのに、こんな奴等と会話するだけ無駄である。
そう思ったヨシュアは気の利かないガラハドに舌打ちをしたくなった。
「ほんとだよ! わたし、ヨシュアのけがなおせるよ」
すると今度はクレドの隣にピタリとくっついていたキリエが、少しムキになったように声を張り上げた。
「パンドラで、ヨシュアのけが、なおしたいの」
そこでキリエの能力に気付き、"複数のパンドラを持っているのか"と驚く。
だがしかし、そこではいそうですかと納得するような少年ではない。
「いらねえよ。帰れ」
怪我を負わされた少女に治してもらうなど、ヨシュアのプライドが許すはずもなかった。
ただでさえキリエ自身には苛立ちがあるのに、その上お情けをかけられるなんて腹立たしいことこの上ないのだ。
「え……どうして? わたしちゃんとできるよ! すぐになおせるから」
「ざけんな、吹っ飛ばされたテメェになんか、触られたくもねえ」
直球過ぎる辛辣な言葉と、鋭利な視線に、キリエは自分がヨシュアに拒絶されたのだとわかった。
侮蔑、軽蔑、卑下、憎悪。
そのどれでもないが、今自分に静かに腹を立てていることは理解した。
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