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予想以上に整った成長を遂げた彼は、アリエルのナンバーワン男娼として名を広げた。
フォレストには男娼や娼婦など腐る程いる。
その中でもクレドはトップクラスの指名料を巻き上げている。
最初は彼だって男娼としての自分に戸惑い、悩み、厭った。
こんなことをしても良いのだろうか、キリエとの約束を破ったことにならないだろうか。
純情な少年は、毎日罪悪感をひしひしと全身で感じていた。
ガーネットで自分を育ててくれた園長先生達に、キリエに、今まで生きた自分に。
しかし、それも全て、キリエに会う為だった。
クレドはガーネットを出てからすぐにフランツ家にコンタクトを取った。
電話で出たのは使用人であったが、それでも出てくれただけ充分だった。
今すぐ会えなくとしても、せめて声が聞きたい。
およそ8年、全く会わなかったのだ。
しかし使用人から返ってきた言葉はあまりにも理解しがたく、驚愕するものであった。
『フランツ家にキリエという養女はおりません―――』
耳を疑った。
何度も同じ質問を繰り返しても、帰ってくる答えは同じであった。
クレドはフランツ家がキリエを放り出したのかと直感した。
彼女の居場所がわからないなら、調べなければならない。
それに加えて、彼女に会えるまで死ぬわけにはいかないから自分一人でも暮らしていける資金も必要だった。
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