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行く宛てもなく辿り着いた場所は、ワンドから随分離れたフォレスト。
そこでも途方に暮れた。
アヴァリティア1どころか、世界1治安の悪い町では、生きるだけで精一杯だった。
常に周囲を見張っていなければ、いつ自分が殺されるかもわからない。
何度殺されそうになったかわからない。
精神的にも肉体的にも限界が近かった時、偶然出会ったのがアリエルの女性オーナー・ジュリナであった。
20代後半のスタイルの良い妖艶美女を前に、彼は少し恐縮した。
『――あらアンタ、綺麗な顔してるわねぇ』
『――へぇ、ホームレスなの。私が拾ってあげましょうか』
『――私はジュリナ。一緒に来ると良いわ、クレド』
何もかもを放り出して生きることをも諦めようとした少年にとって、それは暗闇に差した一筋の光だったのだ。
もう一度キリエに会えるのなら、何でもする。
一人きりで泣いているかもしれない彼女を考えるだけで、自分のことの様に胸が痛んだ。
それからジュリナはクレドに男娼という仕事を用意した。
『金が必要か……アンタの精神が持つなら、男娼にでもしてあげましょうか』
『まあ、無理にとは言わないわ。アンタがやりたいなら指名を取らせてあげるけど』
知り合いでも何でもない女を抱き、それに容姿や性格を気に入られば更に給料は上がる。
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