第三章 Lad‐少年‐

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 少年はクレドの優しげな微笑みにホッと一息吐いて口元を緩ませた。 「あ、ありがとう……! 僕の名前はクロード。クロード・ロベルト」  ビクビクと怯えていた先程とは打って変わって、少年・クロードは笑顔で名乗った。  細められた瞳が太陽の光を吸収したかのように、キラキラとつぶらに輝きキリエはぽうっとそれを見詰めた。  宝石みたいな高貴なものではなく、誰もを引き寄せる――そんな柔らかな輝きである。  まだ幼いながら、とても魅力的な少年だ。 「わたしはキリエ。クロード、女の子みたいでかわいいね」  自己紹介がてらに思ったことを素直に口にすると、クロードは照れたように俯いた。 「よろしく……、でも僕は男の子だから……」  クレドは困り顔で苦笑するクロードを横目で見遣り、ふと懐かしい感覚に襲われた。  ふっとそんな感覚にはなったが、何故そんな感覚になったのかは全くわからず、独りでに小さく首を傾げる。  何処かで以前、会ったことがあっただろうか――なんて記憶を辿ってみるも、クロードという知人はいなかった。
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