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次の客を迎えに行く為に、B区に向かった。
次の女は中々我の強い女で、恋人もいなければ家族もいない娼婦だ。
自分と同じ職業の女。
見た目はスレンダーで黒のショートカット、目元がキツイ印象を与える顔立ちだ。
褐色の肌がとても印象的なクレドと同じ年の女。
クレドと同じ境遇の彼女に、親近感を覚えているのも事実で、フォレストの女性の友人と言えば、そのシャルレくらい。
気心の知れた仲でもあるし、たまにシャルレの慰みともなる対象ともなる。
自分が客にキリエへの想いをぶつけるように、シャルレもまたクレドを誰かと重ねる為に買う。
ペンダントのロケットには、幼い頃のクレドとキリエの写真が入っていて、昔キリエにあげた同じものだ。
それを毎晩見て、何年も会っていない、声を聞いていない彼女を忘れないようにする。
B区の待ち合わせ場所に着いた時には、もうシャルレは先に着いていたらしく、建物の壁に背を預けて不機嫌そうな顔をしていた。
「シャルレ」
「遅い」
クレドに気付いたシャルレは開口一番に文句。
それも慣れっこで、むしろそれでこその彼女だから、気にしていない。
シャルレはクレドの隣に行くと、腕を組むわけでもなく、先に3万カイルが入った封筒を彼に手渡した。
ベッドの上でしか引っ付いてこないシャルレは、外では至って普通の友人で微塵も女を匂わせない。
「どーも」
「今日は30分で良いから、残りの30分くらい食事に付き合ってよ」
「ああ、わかった」
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