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赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤――。
この地下に充満した臭い。
床、壁、鉄格子に所狭しと飛び散ったのは、先程まで息をして生きていた人間たちの血である。
数人の男達の死骸と、女の亡骸と、唯一生きている男。
男は女の亡骸を抱きかかえ、己の無力さにただただ打ちひしがれた。
『……僕は、お前だけが……』
哀れな男はひとつの欲望と使命を抱き、
左手には亡き天使を、
右手には瞬く星屑を、
――すべてはここから始まった――
FantasyDesire~ファンタジー・ディザイア~
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