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確信があるわけではなかった。
だけどその髪の毛を見た瞬間、言いようのない懐かしさを感じて、つい受け入れてしまった。
自分の胸に顔を押し付けた少女は、スレンダーなシャルレよりも随分細く、彼の中で何度も思い描いた身長よりも随分小さかった。
まさか、そんなはずない。
キリエがこんな所にいるわけがない。
本来ならば王族の城で生活しているはずだった。
「……あ、いたかった……っクレド」
――はずだったのに。
クレドとシャルレは同時にひゅっと息を呑んだ。
少女から振り絞るように零れた言葉に、確信する。
キリエだ。
約12年、彼にとって気が遠くなる程長い時間探し続けた彼女が、今腕の中にいる。
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