19人が本棚に入れています
本棚に追加
/155ページ
「クレド! その子、ずっと捜してたっていう……っ!」
「……ああ」
信じられない思いで、クレドは呆然と目を見開いたまま、キリエの頭にそっと手をやった。
何故? どうして?
王族のフランツ家に引き取られたはずの彼女は、本来こんな場所にいるわけがない。
いくら行方不明だったからと言って、まさかこんな危険地区にいたなんて思ってもみなかった。
壊れ物を扱うように、細い肩を掴んで顔を覗き込むと、既に彼女は気を失ったようで目を閉じていた。
やはりキリエで間違いなかった。
目は閉じているものの、昔の面影を残した顔立ちだ。
クレドは愛おしそうに、少女が壊れてしまわないように、抱きしめた。
最初のコメントを投稿しよう!