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キリエは顔も身体も汚れていて、身に纏う服もボロ切れのような粗末なものであった。
しかも素足のままだ。
クレドは彼女を抱き上げ、シャルレの方を申し訳なさそうにチラリと見る。
「……良いわよ。あたしも付いて行くわ、文句ないでしょう?」
やっとの思いで見つけ出したキリエを前に、シャルレを優先するわけにもいかなかった。
しかしシャルレの言葉に安心して、クレドは「……ありがとう」と小さく言葉を落とした。
このB区に知り合いのいないクレドは、A区にあるアリエルに向かった。
よく世話を焼いてくれたオーナー・ジュリナならば、頼りにしても大丈夫だろうと絶対的な確信があった。
アリエルの社長室に突然飛び込んだクレド達三人の姿を目にしたジュリナは、僅かに目を見開く。
「オーナー、風呂貸してくれ」
第一声がそれかとも思ったが、相当焦っているようなのでジュリナは敢えて突っ込まなかった。
「……好きに使うと良いわ」
「はあ? アンタが風呂に入れる気?」
「うるさい」
「アンタねえ! 娼婦でもない普通の女に何考えてんのよ!」
いくら幼馴染みと言えど、12年も離れていた上に、今はお互い18歳と17歳の人間なのだ。
シャルレの言い分が100%正しい。
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