19人が本棚に入れています
本棚に追加
/155ページ
キリエを自宅に連れ帰ってから、丸3日が経った。
その間彼女は眠り続け何度も魘[ウナ]され、時折「痛い」と呟いた。
傷が疼くのだろうか、と思うもののそれを取り除いてあげる力も方法もないだけに、無力感が襲われた。
自分のこの"能力"が彼女にも備わっていれば良いのにと祈るが、それも無理な話であった。
3日間ほぼ睡眠は0で、付きっ切りで看病をしていた。
昔自分が風邪を引いた時、彼女が看てくれたように。
12年経ってもその可愛らしい顔立ちは健在で、あの時よりも更に綺麗になったとクレドは思う。
今は閉じられて見えない瞳を早く見たい。
今の彼女は一体どんな風に笑って、泣いて、怒るのか。
どんな声で自分を呼ぶのか、触れるのか。
クレドの中には目覚めて欲しいという心配の中には、少しの下心もある。
それに、未だに首から下げられていたペンダントを見つけて、とても嬉しかった。
彼女の中でもまだ自分の存在がいて、だからこそこうして頼って来てくれた。
やはり自分には彼女が必要で、大事なのだ。
「……ここ、どこ……?」
少し感慨に耽っていると、不意に下から弱々しい声が聞えてきた。
ハッとなって眠っていたキリエに目をやると、彼女は眩しそうに目を開いて自分をぼんやりと見ていた。
「大丈夫か? 俺がわかるか……?」
どう声をかければ良いのかわからず、少し躊躇っていると、そんなクレドを余所にキリエはガバッと起き上がり、思い切り彼を抱きしめた。
最初のコメントを投稿しよう!