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「すごい……! 良いパンドラ持ってるね、クレド」
しかし彼女は感心したように微笑む。
「いや、キリエの方が良いよ。治癒だったら、他人にも活用できる」
なんとも彼女らしい力だ。
しかし自己回復のパンドラがあるおかげで、クレドは昔から弱かった体が強くなった。
病気をすることもなくなったし、怪我をしても一瞬で治ってしまう。
人間であって、人間在らざる能力をもつパンドラ。
このフォレストで、キリエがパンドラだとわかれば色んな輩に狙われるかもしれない。
それに治癒のパンドラのみならば、キリエは戦う事は出来ない。
「キリエ、俺の前で以外パンドラを使うのはやめろ」
キョトンと不思議そうに小首を傾げる彼女は、クレドの考えなど全く頭の中にはないみたいだ。
「ここはフォレストだ。いつ殺されても可笑しくない町なんだ。パンドラなんて価値を他人にバレたら、利用され兼ねない」
「わかった……じゃあ使わない」
クレドは素直な返事を聞いて、いい子いい子と頭を数回撫でてやる。
3日間眠りっぱなしだったキリエは、夢に魘され汗もかいていた様だし、彼は風呂に入るよう勧めた。
その間彼女がお腹も空かせているはずだから、クレドは手際よく料理を始めた。
一人暮らしをしてから炊事洗濯、掃除をやるようになり、クレドは思いの外それを楽しんでいた。
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