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残る下着は、キリエは流石に自分一人で選ぶと言って男二人を残してランジェリーコーナーに行ってしまった。
「下着まで選んでやりたいとか思ってないよね、クレド」
「……まさか」
「なーに、その間は」
若干怪しい遣り取りをしながら、キリエを待った。
買い物籠に数着のランジェリーを入れて戻ってきた彼女は、恥ずかしそうに中を見られないよう背にそれを隠していた。
会計でトーマに全部見られたキリエは少しショックを受け、顔を赤くしていた。
「はい、どーぞ?」
しかし女性下着くらいなんて事ない彼は何も変わらない様子で、彼女に買い物袋を差し出す。
おずおずと手を伸ばすキリエに、クレドは一瞬荷物を持ってやろうかと親切心で思ったが、どうやらこれは持たない方が良いらしいと理解した。
ランジェリーはキリエが持ち、それ以外は全てクレドが持ってスピカを出た。
「ありがとうクレド。かわいいのいっぱい買っちゃった」
クレドは嬉しそうにする彼女を見られるだけで十分という風に慈愛に満ちたように微笑む。
「どういたしまして。とりあえずその格好じゃ何だし、帰ろうか」
もう一度空いている方の手で二人は手を繋いだ。
キリエの方は小さい頃の名残りで特別な何かはないが、クレドにとっては心配と同時に下心も少なからずある。
男女の性[サガ]の違いも当然あるのだから、そう思うのは普通なんだろう。
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