19人が本棚に入れています
本棚に追加
/155ページ
どんなことがあろうとも、彼女を護ろう。
誰であろうとも、彼女を笑顔を奪う者は許さない。
それがどんなに近しい者だとしても、それだけは絶対に許さない。
数多くの闇を見てきた青年にとって、やっと取り戻した太陽は掛け替えのないもので、彼女を護る為ならば冷徹な性[サガ]も珍しく燃え上がる。
わんわんと盛大に泣くキリエは泣き止んだ頃には、一人夢の中であった。
疲労が溜まった所で出掛けて、その上気が済むまで泣いたからだろう。
小さな体はクレドの胸に体を委ね、健康的な寝息をたてる。
クレドはキリエを抱き上げると、その体が揺れてしまわないように気遣いながらベッドに横たえた。
頬を伝う涙を優しく拭いてやる。
「キリエが泣かなくて済むような場所をつくるよ」
そう言うと、不意にその顔が少しだけ和らいだ気がしたのは、自分の都合の良い解釈だろうかと、ふっと笑ってしまうクレド。
「約束するよ……」
彼は誓うように、短い前髪から見えるその額に口付ける。
せっかく新品の洋服を買ったというのに、それを着て眠ってしまった為、彼女が起きた時にはそれは皺になってしまっていた。
洋服の皺を見てキリエはしょんぼりと肩を落とした。
「ほら脱いで。眠いなら着替えておいで」
「はーい……」
キリエはさっき買ったパジャマを手に取ると、風呂場に駆けていった。
最初のコメントを投稿しよう!