第一章 Fate - 運命 -

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 5歳の少女と7歳の少年は、生まれてからすぐに孤児院に引き取られ、生まれてからずっと一緒に生活してきた。  ガーネットの子ども達は年齢関係無く皆仲が良いが、その中でもこの二人は更に深い仲である。  キリエはクレドの後を必ず付いて行くし、クレドはキリエに対して過保護であるから、必然的にそうなったのだ。   いつ見ても、誰が見ても兄妹に見える、微笑ましい二人だ。  お互い、二人はずっと一緒にいるんだと思っていた。  絶対に離れたりはしないと口にはしないが、強く思っていた。  いや、口にしない程、それが当たり前だと思っていたのだ。  しかし、楽しい時間は長くは続かない。  いつまでも楽園にはいられない。  愛しい人は隣から消える。  ある日のこと。 「――――……え……?」  ちょうど園長室の前にいたクレドは、部屋から聞こえてきた会話に体を硬直させた。 (今……なんて……)  クレドはその扉をノックも無しに、勢い良く開いた。  中にいた大人達は思わぬ来客に目を見開き、扉の前に佇む少年を凝視した。 「あ、あら……クレド君」 「先生……今のどういうこと……?」  ――キリエちゃんの引き取り先のことなんだけど。  ――まさかあのフランツ家がねえ、……安心して任せられるわね。
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