19人が本棚に入れています
本棚に追加
/155ページ
「キリエ、明日から俺が家にいなくても、平気?」
フォークを使って食べていた小さな手が、ピタリと止まる。
「え……どうして?」
明らかな不安を滲ませた表情をするキリエ。
「うん。まあ、仕事詰まってるんだ。でも、キリエが嫌なら此処にいるよ」
キリエを自宅に引き取ってから4日が経つ。
毎日毎日客を取っていたクレドは、いつも休日なんてない勢いのスケジュールだ。
それが4日も空けてしまうと、キャンセルをした客へのご機嫌取りもいろいろと雑務のような仕事が増えてしまう。
結局はキリエとの時間が更に減ってしまうことにも繋がる。
自分が思っていたよりもキリエは元気だし、この分だと家を空けても大丈夫だと思ったのだ。
「……」
しかし黙り込んでしまったキリエを見て、クレドは少しだけ困った顔をする。
「ごめんな。まだ不安だよな。此処に」
「だ、大丈夫! わたしなら、平気だよ!」
キリエは面倒見の良い幼馴染みの優しい返事を期待していたが、実際そう言われてしまうと自分の我が侭に嫌悪し、慌ててそう言った。
最初のコメントを投稿しよう!