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クレドは自分がキリエに仕事の内容を教えることはないだろうとぼんやりと思う。
こんな自分を知られたくなかったし、知られたら彼女に幻滅されてしまうかもしれない。
唯一自分が大切に思う彼女に拒絶されて正気でいられる気など、毛頭ないのだ。
クレドはキリエが食事をしている間に、早速部屋に取り付けてある黒電話で勤務先のアリエルに電話した。
ワンコールも置かない内に出てきたジュリナは、愛想の良い声でテンプレな言葉を並べた。
「クレドだけど」
「あら、アンタか。何?」
そしてクレドだとわかると、一気に声のトーンが下がった。
「明日から復帰するから、客取り付けといて」
「もう? 随分早いのね。あの娘は大丈夫なの?」
「体調は良いけど、やっぱり心配だから、トーマの所に預けることにした」
電話の向こうから「過保護」と言われるが、構わない。
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