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ドライヤーでクレドに髪を乾かしてもらい、おろしたての歯ブラシで歯を磨き、トイレに行くとキリエは月も出ない間にまたベッドに潜り込んだ。
そして、ハッと気付いたように布団から顔を出して、クレドを見る。
「クレドはどこで寝るの?」
キリエが寝込んだ3日間、クレドは当然ながら二人がけの小さなソファーで寝ていた。
キリエよりも遥かに背が高いクレドからすると窮屈だったが、男としても一個人としても彼女をソファーで寝かせるわけにはいかなかった。
「俺のことは気にすることないよ。ほら、眠いんだろ?」
彼女に気を遣わせまいと流すが、駄目だと言ってこう提案してきた。
「そうだ! クレドもわたしと一緒に寝よう! それがいいよ」
名案だというように少し誇らしげに言うが、クレドは呆れて溜め息をつく。
本当に自分と彼女の"好き"は同じなのだろうかと。
何の恥ずかしげもなくそう言われては、まるで男として意識されていないようだ。
「……キリエが良いなら、俺はそれで良いけど、狭いよ?」
「ううん、全然いいわ。まるでガーネットにいた頃みたい」
キリエは懐かしそうに笑むと、おやすみなさいと言って今度こそベッドに横になった。
別に嫌なわけではないしむしろ好都合と捉えても良いくらいだ。
けれどもこうも意識されないとなるとそれは逆に問題ではないだろうか。
クレドは明日の客のリストを確認したり家事を済ませたりすると、もうすっかり眠ってしまっているキリエの隣に横になった。
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