第一章 Fate - 運命 -

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「ねえ先生……っ、キリエ、いなくなるの?」  クレドは堪らず園長先生の下へ駆けていき、震える両手で彼女のロングスカートを掴む。  その震えが伝わり、彼女は目を伏せる。  大きくて綺麗な瞳には溢れんばかりの涙が溜まっていて、必死に見上げてくる。  育ててきた愛しい子どもにそんな風に見られては、嘘なんてつけるはずもなく、先程の話をいずれ皆には伝えるつもりだったから…と正直に話した。 「あのね、キリエちゃんはすごくお金持ちのフランツ家の王族と一緒に暮らすことになったの」  フランツ家とは世界4大王族の一つで、多くの研究で成果を残している王族だ。  大金持ちもいい所だ。  そこに引き取ってもらえれば、きっとキリエは何不自由なく過ごせて、ここよりも裕福に幸せに暮らせることだろう。  それでも、子どものクレドにはそれが理解できず、キリエが離れることを受け入れられなかった。 「どうして!? 嫌だよ、なんで……僕は一緒じゃないの?」 「ごめんね……フランツ家で受け入れ可能なのは、一人だけなの」 「なんでキリエなの!? 他の子でもいいのに……っ」  よりによってどうして。なんで。とぐるぐると頭の中で回る。 「フランツ家からの指名が、キリエちゃんだったの。わかって、クレド君」
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