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シャルレとクレドが出会ったのは、今から3年前の冬。
ある出来事で母国のアセーディア国にいられなくなったシャルレは、途方に暮れ彷徨い続けた結果、最終的に辿り着いたのがフォレストであった。
右も左も何もわからない。
“日常”では有り得ないことが普通に起こっているこの町に戸惑いを隠せなかった。
ギラギラと目を血走らせ獲物を狙う輩、平気で行われる売春と犯罪、平和が抹消された町。
何をどうすれば良いのか、誰を信じれば良いのかわからず、ただただ時間だけが過ぎていった。
次第にシャルレは生きる気力すらなくし、飲まず食わずでただ道端に座り込んでいた。
そこにやってきたのがクレドだった。
彼は当たり前のように「食べれば」と言って、彼女にパンを与えた。
クレドはシャルレをトーマの所まで連れて行き、面倒をみろと押し付けた。
実に横暴だったが今ではそれがなければ、シャルレは此処にいなかったのだ。
昔の自分と重なって見えてしまった彼女を、クレドは放っておくことができなかった。
『誰よりも上に立った』彼だからこそ、シャルレに手を差し伸べることもできたのだろう。
今思えば、シャルレはクレドに世話になりっぱなしだと思った。
これは2年前の話。
フォレストを牛耳ろうとしていたある山賊達がいた。
フォレストの住人は元からの下衆が多いが、山賊達は周囲を凌駕する程の悪党であった。
何人もの子どもや娼婦が殺され、出店が被害に遭った。
過去最低ともいえる被害を被ったとも言えた程、彼等は暴れ回った。
かく言うシャルレもその被害者の1人で、集団リンチに遭った。
娼婦としての彼女は山賊の1人に買われ、いつものように仕事をこなした。
けれどもホテルから出ようとした所を集団に囲まれ、乱暴を受けた。
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