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「ねえねえ、わたし、ここでお留守番してちゃダメ?」
「え、一人で?」
頷いた彼女の瞳は、お願いと言うようにクレドを見上げていて、期待に輝かせていた。
「一人でお留守番したい!させてお願い」
「……いや、でも……」
スピカにいた時でさえ心配だったというのに、もしキリエがここでずっと一人になると考えただけで、クレドは胃腸が痛くなるのを感じた。
「ねっ、ねっ、わたし大丈夫よ。ちゃんとお昼ご飯も用意するし、お部屋もきれいにつかうよ」
両手を合わせて「お願い」と何度も言われれば、このクレドが無下に断れるはずもないのだ。
クレドは何だかんだで押しに弱く、結局キリエを一人にして仕事に行くことにした。
都合の良い人間がいればキリエにバレないように家の外に見張りでも付けておけるのだが、生憎とトーマは店番でシャルレは仕事、ジュリナも同様。
アリエルの後輩に信用できる人間はおらず、任せられない。
この男にとっては苦渋の決断だったが、「誰が来てもドアも窓も開けないこと」、「キッチンには近付かないこと」と口をすっぱくしてキリエに言い聞かせた。
最後にキリエに昼食と夕食を作ってクレドは家から出ていった。
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