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この少女と“友達”なった自分を想像してみると、大嫌いなはずの人種なのに、不思議と悪くはなかった。
「わかったわかった。じゃあなってやるから、開けろよ」
「あ、今日はダメ。クレドに友達つくっていいか聞いてからね」
この少女に自己決定能力はないのかと、ヨシュアは再度舌打ちする。
クレドクレドと繰り返す様はまるで刷り込みでもはたらいている雛鳥のようだ。
「待て。アイツには絶対にオレのことは言うな」
「え、どうして?」
「“友達”になりたいんだろ? “友達”とやらは秘密を持つらしいぜ」
「秘密……」
「“友達”になりたいなら、このことは絶対誰にも言うな。誰か一人にでも言ったら、お前とは“友達”にはならない」
まるで脅すようき言えば、キリエは慌てて「言わない!」と言った。
「ぜったい言わないよ! だから、また来てね」
案外ちょろいな、と内心思いつつもヨシュアは声だけ優しく「わかった」と言い、クレド宅に背を向けてそこから離れていった。
間に窓を挟んだままで相手の顔すらも見えなかったが、この新し出会いがキリエにとっては新鮮で心がドキドキしていた。
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