Behind ‐ 背後に ‐

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 髪が長いキリエはドライヤーを使っても乾くには20分弱の時間を要する。  それでもそれを嬉しそうに続けたクレドは、完全に髪の毛が乾いたことを確認すると満足そうに微笑む。 「できたよ」 「ありがとう。わたしクレドにかわかしてもらうの好きよ。なんだか気持ちいい」 「どういたしまして。キリエの髪ならいつだって乾かしてあげるよ」  ニッコリと効果音が出そうな程笑った彼女は、再度礼を言うと床に脱いだパジャマに手を伸ばす。 「んとね、次はこれ、どうやって着るの?」  トーマからもらったと言うパジャマを広げてみると、それはそれは何処かの貴族が着るようなデザインで、所狭しとリボンやらフリルがあしらわれている。  少し複雑な作りになっているが、着られないというものでもない。  クレドは暫しパジャマを吟味すると、どう着ればいいか閃いたらしい。 「おいで」  可愛らしいパジャマ片手に手招きをすると、キリエは素直に彼の前に行き、その端正な顔を見上げた。  シミュレーションっぽく、クレドがパジャマの何処のリボンを解いてから、何処から着るやら、着る時のコツやらをレクチャーし、彼女は6回目にようやくそれらを理解できた。  タイトなパジャマはあまり寝心地が良いとは言えなさそうだが、キリエは気に入ったみたいで嬉しそうに風呂場に駆けて行った。  恐らく鏡を見ているのだろう。
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