Behind ‐ 背後に ‐

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『……ぼ、ぼくも、一緒にいく』  出たい、けれどそれと同じくらい外が怖い。  それでもキリエならば、自分を連れ出してくれるのだ。  それに何よりキリエ一人で行かせることは、できなかった。  ――外は雪が積もりに積もっていた。  アヴァリティア国は気候の寒い国だ。  もうすぐでクリスマスのこの季節になると、もう雪は降っているし夜中は極寒だった。  一階建て窓から出る時、着地に失敗したキリエは泣きそうな顔をしたが、『泣かないもん』と言って本当に泣かなかった。  クレドは窓を外から閉めると、手袋越しにキリエの手をギュッと握った。  外は相変わらず寒かった。  しかしキリエと一緒ならば、クレドは何でもできそうな気もしていた。  いつも自分を引っ張ってくれるのは、この二つも下の少女なのだ。  忍び足でガーネットの庭にある、二人しか知らない抜け穴に行った。  子ども一人が通るのが精一杯の、低木層の穴だ。  そこを抜けると、いつも先生たちに連れていってもらっている町並みが広がっていた。  クレドはキリエに着いた雪や土や葉を払ってやると、また手を繋いでそこから歩き出した。
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