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平然と話を聞いていたのは執事、宰相、影のトップ。彼等はそのことを知っていた。
リトスの母──前王妃の身内であること。
「そういえば言っていたな、仲のいい姉がいると」
「ああ・・・帝はギルドの管轄だったな」
「だがあんな化け物だとは聞いていない」
「・・・なあ、どういうことだよ?」
ギルドマスターとリトスの会話に入り込むシーアは分からなかった。
それもそのはず、ギルドマスターも知っていたから。忘れていた昔のこと。
「そいつの母親は中央の生まれだ。そんでもって、昔は光帝の座についていた」
「そうだったんですか・・・」
「俺達の間じゃ有名な話だ。没落貴族から生まれた天才。治癒魔法を詠唱するその声はまるで歌うような美しい声」
ついた二つ名は“黄金の唄姫”。戦場では傷付いた兵士をその歌声で癒したという。
そんな彼女が帝を退いた後、どういった経緯かは謎であるが西の王族と婚姻の契りを交わしたという話は当時では話題となっていた。
もちろん、彼女が光帝だったということを知っている限られた人間のみの間でであるが。
「そ、そんな有名人だったのか」
「こっちにはあんまり流れてこない話だしな」
「けど、片割れである姉にそれほどの力があったっつーのは初耳だ」
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