4 chapter 雷帝の力

2/33
15028人が本棚に入れています
本棚に追加
/730ページ
【sideミナミ】 パタン、と思ったより大きな音を立てて閉じられた扉に、雷帝――ハズキは吸い込まれるように消えていった。 見えなくなってもなおぼーっと見つめてしまう。 ハズキと会議に出たのは実質これが初めてだった。 風帝としての着任式の時、一応全帝が集まって顔合わせをした。その頃にはハズキはちゃんといたんだ、その時が俺達の初対面。やっぱり雷帝は口を開かず、無口な人だなと客観的に思っておわった。 まさかそんな雷帝が学生で、同じ学園に通うことになるなんて。しかも友達。本当、何が起こるか分かんないよね。 そう言えば、さっき“ハズキ”って呼んじゃいそうになったの気付いてたかな。口軽すぎだって、後で怒られないといいけど。 「ミナミ」 「はい」 「勉強してこい」 その口調は、ハズキがそれなりの強者だという確信。マスターは知ってるんだ、ハズキの実力を。 分かってます、そう心の中で呟いて俺は強く頷いた。 「ぶっちゃけ、雷帝はどれぐらい強いんですかー?」 軽い感じで聞く水帝。彼女はいつだってそうだ、楽観的なのかもしれない。明るくていいとは思うけど。 まあ、それは正直俺も気になるし。そんなことをマスターに直接聞ける訳もなく。ナイスです水帝。 「言っても信じないと思うぞ?」 「それって・・・」 「たぶん、憶測だけどあれは俺より上」 マスターより強い人間。そんな存在は初めて聞いた。 同じぐらいの人間は、地帝と軍に数名いるんだと教えてもらったことはあるけど。その人たちより強い人なんて、この国にはいないんだと思ってた。 「マスターは彼の実力を知っているのですか?」 水帝と対照的な彼女、光帝落ち着いた口調で問う。 「どうだろう、あれの本気を俺は見たことないからな」 「と言いますと?」 「雷帝の戦闘回数自体が少ないってのもあるし、1つとしては魔力量かな」 あ、そう言えば。 ハズキの腕に俺が学園に通うときにつけている指輪と似たような感じのブレスレットが2つついていたっけな。たぶん、俺と同じなら魔力制御系の魔法具だろう。  
/730ページ

最初のコメントを投稿しよう!