1 chapter 新学年

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魔物の血に染まる両の手。 それに握られている慣れ親しんだ武器もまた、青みがかった緑や黒で染まっている。 そうだ。 ここに立っているということは、たくさんの命を守っているということ。 それと同時に、またたくさんの命を自身が奪っているということ。 ここは、戦場なんだ。 その事実にまた吐き気がした。 するりと手から滑り落ちる武器。 上級魔法を連発した後のダルさが体に残っているのが分かる。 手にはまだブレスレットがついていた。 ―――ああ、少し、疲れたかな。 何も考えたくなかった。 何もしたくなかった。 何も聞きたくなかった。 自由にしてみたいと思った。 鼓膜を震えさす雄叫びが、それはできないと現実に引き戻す。 諦めるように、じぶんは目を瞑った。 何も、考えないように。 意識が遠退く中、どこか遠くで自分の名前を呼ばれている、そんな気がした―――。  
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