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あの後どうしていたのか。この約1年どうしていたのとか、何で連絡の1つも寄越してくれなかったのとか、聞きたいことは山程あった。
それらも全部吹き飛んで、ただそこにいてくれる事実に満たされる。
本当によかったよ。
カイトが横に並ぶ。
あの頃と変わらない制服をカイトが乱暴に掴んで、全身に感じていたぬくもりが離れる。
トンッ、と胸に拳をぶつけた。ハズキはそれを甘受する。よろけることもない、それ程の力だ。
「・・・・・おっせえよ」
「・・・ごめん」
「ばーっか、それは前に聞いたっつーの。人伝だったけどな」
言葉とは裏腹に、カイトの両目には分厚い膜が張っていて、今にも溢れ落ちてしまいそうだ。
我慢してるんだね。本当は一番さみしかったくせに。
もういいやって、カイトも思うから。
「俺達が欲しいのはごめんじゃないぞ?」
傍観を決め込んでいたキリヤもそばに寄ってくる。金も似合うな、とさりげなくハズキの髪を撫でた。
隠れていない右目が細められる。
「おいお前ら、感動の再会なのは分かるけど授業は待ってはくれないからな」
早くしろと言うわりに、ヤブキ先生も妥協しているのが表情で分かる。先生だって喜ばしいことだと思ってるくせになあ。
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