1 chapter 新学年

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3人で廊下を歩く。 この2人と歩くと身長差が際立って嫌なんだ。 俺が1番小さくて、キリヤが1番でかい。中間のカイトと俺でも差が大きいからこればっかりはもう諦めてる。 「あーまた担任ヤブキ先生かよ」 「絶っ対また色々言われるー」 1年の時もヤブキ先生で遅刻するたびにぐちぐち言われた。むしろその記憶しかない。 「お前らが大人しくしてたら済む話だろ」 ごもっとも。だけど俺は寝坊するぐらいでそれ以外はほとんどないはず。 テストの点もそこまで酷くない。カイトと違って。 「俺はそこまで騒がない」 「俺だって!」 「カイトは絶対ない!」 「なんでだよ!怒られる時なんか大概お前一緒じゃねえかよ!」 「それはカイトが余計なこと引っ張ってくるからだ!俺は無実!」 いっつもいっつも俺まで悪いみたいに言われてさっ。巻き込まれて苦労してんのはこっちだっつの! カイトはテストも駄目だし本格的な馬鹿のくせにっ。 「だからうるせえって。周り人いっぱい見てるだろ」 キリヤに言われる前から視線には気づいてた。てか毎回のことなので気にしないようにしてた。 「はっ、これは別に煩いだけじゃねえよ」 「知ってる。鈍感とかじゃないからな」 カイトとキリヤは正直モテる。2人共だ顔立ち整ってて男前だと男の俺から見ても思う。 1年の時から女子に人気があってファンクラブなんかもあるって噂で聞いたこともあるぐらい。 いつもカッコいいって言われてるし。 とにかく人気だ。 だから廊下とか歩くたびそういう視線を感じる。 「相変わらず人気者だね」 少し皮肉めいて言ってやる。ちょっとムカつくのは本当だから。 「なに言ってんだ。ハズキだって言われるだろ」 「かわいい、ってな!」 爆笑しながらそう言うカイトを横から思いっきり蹴る。容赦なんかはしない。 俺がそう言われるのが好きじゃないの分かってるくせにからかってくるんだ、質悪い。 「でもほんとにかわいいぞ?」 「・・・」 ストレートに言ってくるキリヤを睨む。 自分が童顔なのは分かってる。どっちかと言うと肌が白い方なのも。 綺麗系の童顔だとか言われるけど正直男だから微塵も嬉しくない。 カッコいい2人がほんと羨ましい。あと身長も。 こんな2人と1年間歩いてきたんだ。  
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