13 chapter 始動

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「・・・ハズキなんか、この学園が初めて通った学校だって言ってた」 「は?」 ああ、この声はカイトの声だね。皆知らないよね、俺も知らなかった。 これもハズキが、皆に嘘をついていたことの1つだ。ごめんね、ハズキが内緒にしていたことを俺が言ってしまって。 小等部も中等部も義務教育で、通っていない子供はいない。にも関わらず、ハズキは学校というものに通ったことがないと言った。 理由までは聞かなかったけど。 ずっと、行ってみたかったんだって。 友達が欲しかったんだって。 「俺以上に、ハズキは学園に通いたがってたんだよっ」 学校というものがどういうものかも分からず、それでもその存在に憧れ続けて。どういう環境で育ったかも分からないけど、友達がいなかったと言って友達を求めていた。 力があっても、皆と同じ子供だから。 よかったよ、今この場にハズキがいなくて。そんなことハズキに言って欲しくなかった。俺はまだいいよ。初めてって訳じゃないから。 誰よりも学校に憧れていた、ただハズキだけにはそんなこと言って傷付けて欲しくなかった。 「君の気持ちは俺達には理解できないけど、俺達の気持ちも君には分からないよ」 一生ね。そんなことを言う人と友達になりたいとも思わないよ。
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