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俺は知っている。人間は一度過ぎた時間には戻れないってことを…。でも、だけど、もし本当に戻れるのなら俺は迷わずこう言うだろう。
「チャンスを掴ませて下さい。もう‘こうかい’には慣れてるから」
「それなら、昼休みにインストールしておいたアプリを起動させてごらん。アプリはミュウジックのところと入れ替えておいたから」
携帯のディスプレイをタッチし、ホーム画面を見て本当にミュージックが入れ替えられていることに驚いた。なんせ、色もデザインも同じで違うのは音符がお玉じゃくしになってるだけだったから。
その変なアプリを起動させ、初期設定を登録していく。一通り登録を終えたところで彼女に報告。
「大体登録終わって、イメージ画面になったんですが?」
「イメージは君の戻りたい時間を想像しろということだ。好きな時間を想像したまえ」
戻りたい時間か。
目を瞑り想像を膨らませていく。みんなが必死にペンを動かしながら過ごしたあの1年。いろんなことから卒業できなかった1年。
『イメージカクニンシマシタ』
右手に握った携帯が徐々に熱くなってきたのに気が付いて、慌てて目を開けると携帯は発光して俺の体の半分を既に包んでいた。
「じゃあ、きをつけて行ってらっしゃい」
彼女の言葉を耳が捉えた時にはもう光が全身を包んでいた。
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