あなたのために

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一通り笑ったあと、彼は私の頭に手を起き撫で始める。 「そういや、マギ。言葉上手くなってんねー。えらいえらい。」 「はいっ!頑張って、蝶々様のメイドになるんです!」 「……メイド…か。マギがいいなら、それでいっか。うん。」 彼の顔が少し渋くなる。 メイドが嫌だったのだろうか?メイドよりもシツジという方が良かったのだろうか?そもそも、メイドとシツジってヤツの違いがよくわからない。明日、クスノキに聞いてみよう。 「あ。クスノキさんが、ユウゲが出来るから御戻りになられてって」 「え、あ。もう、こんな時間か!!うし、 行くか」 クスノキからの伝言を彼に伝える。 後で教わったが、ユウゲとはご飯の呼び方らしい。いわゆるディナー。また1つ賢くなった気がした。この国は、色々と呼び名が変わるからややこしい。 「マギはさー、なにが好きー?」 「?蝶々様。」 「ブフォっ。そうじゃなくて、食べ物でさ。なんか、こんなの食べたいー!とか、こんなの欲しいー!とかないの?小生食ったって美味しくないっしょ」 質問の捉え方を間違えたようだ。彼は、ケラケラと笑いながら質問の内容を捕捉した。 いや、彼は充分美味しそうに見える。 食べたいもの。好きなもの。なんだろう…… 「あ。」 「なんぞ?」 「誰かと飲む紅茶……」 ふと、脳裏に浮かんだ景色。茶髪の少年と水色の髪の女性。二人の顔はボヤけていてわからないが、とても楽しそうなのはわかる。その誰かと飲む紅茶が好きだった。 …………だった?
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