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クスノキが出すものだ。安全なのは確かだろう。だけど、てを出すことは出来なかった。
「マギマギ」
隣に座っていた彼が肩を叩く。何事かと思い、彼の方に顔を向けると、口になにかを入れられた。
「むぐっ?!」
「それが、煮物の味。どう?美味くない?」
「蝶々様、御行儀が悪いですよ」
「さーせん」
口に入れられたのは、先程のニモノ。帆のかに甘い味が口の中に広がる。
美味しい。
それから、黙々と煮物にてを伸ばす。こんなに見た目怪しいのに、とても美味しい。
夕飯を食べ終えると、それぞれ部屋に戻る。さて、私は何をしようか。
特にやりたいことはなく、なんとなく家をぶらつく。そして、着いたのはあの池。
水面に写る逆さの月が木の葉と共に揺らぐ。
ふと、水面に写る人影。それは、自分のではない。
ヤバイ。背後を取られた。
振り向くが、人など居ない。気のせいだったのか?水面に視線を戻す。
「誰…?!」
人の気配などなかった。ましてや、魔力も感じない。なのに、何故かソコに居るのだ。そして、それは私の影に被さるようにいる。
それが、何者かは分からないが、どことなく懐かしい感じがすると同時に、未知なる恐怖を感じさせる。
こいつに捕まったらいけない。
本能がそう叫ぶ。
直ぐ様そこから逃げ出そうと足を動かすが動かない。何故、動かない。自分の足が自分のものでは無いかのようだった。
だんだんと、視界が暗くなる。
ふと、ヤツの方に視線を向ける。あぁ、笑ってる。多分、全部シナリオ通りに進んでるんだ。
“紅髪ノ道化ガ私ヲ見テ笑ッテル”
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