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部屋の外に出る。
夜ということもあり、多少冷え込むが、考えすぎて煮えたぎった頭を冷やすには丁度良かった。
着物の袖に両手を突っ込み歩く。あんなに、大きかった柱が今では大きいと感じない。あれから、幾年もの月日が経ったのだ当たり前なのだろうが……
「……あれ?」
池にまで来て異変に気付く。
近くに黒い人影が倒れていた。クスノキさんは、この池には近づかない。なんせ、この池にはマモノが住み着いている。と代々伝わっていたのだから。と、なるとだ。ここに来るヤツは、兄さん、さざ姉、小生の三人だったが、前者二名は可能性的にゼロに近い。あとは、あとは……
「マギサッ!!!」
可能性がある人間の名前を叫び近寄る。
昼間に転送されて、この池には来た。もし、記憶に残っていて気分転換がてら来たとしたら……もし、記憶に呼ばれて来たとしたら……
「おいっ!マギしっかりしろっ!!マギっ……マギサッ!!!!」
倒れていたのは、予想通りマギサだった。
マギサを抱き名前を呼ぶが反応はない。これは、かなりヤバイ状況だ。
そのまま、抱き上げ小生の部屋まで走る。途中、クスノキさんに色々と準備を頼んだ。
ひいてある布団にマギサを横にする。
呼吸は正常。脈も安定。
じゃあ、何でマギサは倒れていた?
この顔色を、見る限り貧血などといったものでは無いだろう。
どっちにしろ、彼女が起きなければ何も解決はしない。無事、眼を覚ますことを祈り看護するしかない。
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