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閉じた目を一気に開ける。が、目の前には誰もいない。はて、空耳だったのか?
「あ、疲れすぎて幻聴聞こえちゃいましたか。なるほどなるほど。本当に有り難うございます。では、おやすみなさい」
「阿呆か」
またもや声。
なんだ?この声の主は、小生を罵倒するしかできないのかい?
あぁ、思い出した。この声の主は、ミコっちゃんだ。小生の中に居る兄さんと対なる存在。いや、正確には兄さん中に存在した尊と対なる存在。破壊の象徴。
「どったのミコっちゃん。いつから小生を罵倒するようになったの」
「前から。お前は1つ忘れているみたいだが、此処はお前が望んできたんだぞ?」
ん?どういうことだ?
望んできた。1つ忘れていること。小生が忘れていることとはなんなのだろう。彼が罵倒するぐらいだから相当大切なことなのだろう。
あの戦闘が終わって……あれ、そのあと小生は何かしてた?今日はいつ?何月何日……?あの日から何日経った……?
「お前は、あれから霊が抜けたように生きていた。二年間。覚えてないだろう?この世界は変わった」
「に……ね、ん?」
二年間……なにそれ。そんなに経っていたの?じゃあ、この傷は何だ?おかしい。まさか…まさかのまさか
「これって、まさか小生自身でやっちゃった?」
「御名答」
「まじかー……」
自虐行為。
あ、段々と甦ってきたぞ。
そうだ。小生、あれから二週間後ぐらいに眼覚めてた。で、起きたら兄さん居なくて、さざ姉ぇ達と捜索したんだ。でも、見つけらんなくて、ヴィネアが兄さんが悪魔との契約をしていて、その契約のせいで兄さんは、この世から消えたんだった。その話を聞いたあと、さざ姉ぇも姿を消した。何だかんだで兄さんを愛していたし、想像はできる。呉は、呉で罪を認めるとかなんとか言ってたな……ヴィネア達は、どうしたんだろうか。ギルドは?まったくそこだけは思い出せない。いつ此処に来たんだっけ……
「ギルドは……?」
「お前はギルドを抜け、荷物を纏めルビッシュの実家に住み着いているじゃないか。忘れたのか?」
「はぁ?!オジさんとこに!?嘘だっ……!」
なんで?なんで、あんなに嫌ったオジさんの家に住み着いたの小生!?馬鹿なの阿呆なのクソ野郎なの?!
「あいつは、一年前に死去した。その知らせを聞き、お前は住み着いた。思い出せないのか?」
「あ、死んだんだ。」
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