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冷たい言いぐさだとは思う。だけど、あいつが小生たちにやって来たことは、一生をかけて許されない……いや、許せないことだ。
なんか、色々とやっちゃってた。駄目だ、帰ろう。色々情報を仕入れよう。此処にいても無駄な気がしてきた。
「なーんか、思い出したくないこと思い出しちゃった」
「なにを?」
「……唯一救える力が消えたこと」
小生の能力の風を操る力。それと、この世に存在しない者を見る力……というか第六感が消えた。原因は不明。これで、晴れて普通の人間になったわけで。あ、でも、ミコっちゃんが居るから普通とは言わないか。
何だかんだ考えていると、あっという間に家についた。和風のおっきな屋敷。何々組とか書いてありそうな厳つい屋敷。これが、兄さんが生まれ傷つけられたルートランス家の屋敷……
「ただいまー…」
「蝶々様何処に行っていらしたのですか?!」
玄関に入っていきなり詰め寄られる。この女性は……
「え、クスノキさん!?まだ、ここで働いてたの?!」
クスノキ。この女性は、小生がガキの時に小生の世話係をさせられていた人。当時は、栗色の長い髪を上の方で1つに結んでいる可愛らしい女の人って感じだった。だが、今となっては、栗色の髪は肩より上の長さまで短くなり、目尻にシワが数本。小豆色とか渋い色が似合う女性と化していた。
「まだとはなんですか!私めは、あの日、蝶々とビニッシュ様が居なくなられた時から心配で心配で……生きていることがわかって、ずっと此方であなた様方の帰りを待っていたのですよ?!……と、初めて帰られた時に申し上げた筈です!」
あー……覚えてません、ごめんなさい。
それにしても、小言が煩いのは十何年経っても変わらない。
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