10年前

10/22
前へ
/24ページ
次へ
「何であんたがそんな事さ知っとうにっ!!?」 それは怒り狂ったような言い方だった。 ばっちゃんは確かに小言は多い。 ただ、今みたいに怒鳴りつけて怒るような叱り方はした事がなかった。 「い、今、学校で習った言うたがや…」 「………ほぉか、授業か…  ほんなら…先生はほかに何か言うとらんかったか?」 「言うとった…この事は誰にも言うなて。  …どうしても聞きたいんじゃったら、家の人に聞け…いうて」 この時、初めてばっちゃんを怖いと思った。 何か隠してる事も、私が知らん事をばっちゃんが知ってる事も気付いたけど… その先を何でか聞けんかった。 「じゃったら、先生の言う通りにしとぉき。  もうその話はしちゃぁいかん、分かったな?」 私はただ、静かに頷いた。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加