10年前

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目の前でお母さんが泣き出すのは、普通ではない。 えっちゃんのお母さんは明るくて、ちょっと怖くて。 でも元気な人だった。 そんな人が自分の前で怒鳴りながら泣く… えっちゃんがショックを受けた理由は、嫌でも理解が出来た。 「うちもじゃ。 ばっちゃん、泣きはせんかったけど… 怒鳴りつけて、あんな感情的になったんは初めて見た」 「美弥ちゃんとこもか…」 「うちらだけやない。クラス皆そうじゃ。  やっぱり…正吾の言うた呪いはホンマなんかなぁ…」 二人でこんな話をしたところで解決なんかするわけもなかった。 ただ、もうこの話を他でするのは止めようと。 どうしても話したかったら、二人で話そうと決めた。 思えばこの時からえっちゃんと、えっちゃんのお母さんはボタンを掛け違え始めたんだと思う。
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