10年前

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中学生になったからと言って、特に何も変わらない。 ここは籠女村。 「かごめむら」と読むここは、森に囲まれた不便な村だ。 この籠女村には小学校も中学校も、高校も一つずつしかない。 だからここに住んでいる限り、皆絶対に同じ学校に行く事になる。 子供の数も少なくて、どの学年も十数名ずつの2クラスしかなかった。 淋しいと言えば淋しいが。 これがやっぱり普通なのだ。 10月21日。 この日は籠女中学の全生徒が運動場に集合していた。 皆鉢巻を締め、運動場をグルリと囲むようにして椅子に座っている。 その学生の後ろには、保護者の姿。 つまり、今日は体育祭が行われていた。 「これで午前の部を終わります」 このアナウンスが流れればお昼の時間で、生徒は家族の元へと集まっていく。
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