10年前

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それもこれも、全部ばっちゃんのおかげだ。 ばっちゃんも、じっちゃんをずっと前に亡くしている。 お互いすがる相手がおらんから、ちょうど良かったのかもしれん。 言い方は悪いが、私たちは必要以上にお互いに依存していた。 お昼の時間が終わり、午後の部が始まる。 自分の椅子へ戻ればそこには、えっちゃんとその弟の姿があった。 「あれ、太一君どないしたん?」 「何や離れたぁない言うて、ずっとくっついとるんよ」 そう言うえっちゃんは、少し嬉しそうに見える。 太一君はこの時小学二年生になっていて、私とも仲が良かった。 えっちゃんと遊ぶ約束をして、太一君が付いてくるから三人で遊んだ事も多々ある。 「太一君戻りたないのん?」 「うん、ここでお姉ちゃんと一緒に座ってるよ」 無邪気に笑う太一君は、その後すぐえっちゃんのお母さんに連れられて行ってしまった。
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