2章†受け継がれしモノ

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柚羽:「あっ..」  入り口手前で急に足を止める柚羽。 渚:「柚羽チャン?どうした?」  追い付いて見ると、柚羽の目の前に黒いコートを羽織った怪しげな男が立ち塞がっていた。不気味な笑みを浮かべながらその男は喋り出す。 ?:「オット、これはこれは失礼。怪我ァ無ェか?」 柚羽:「ぃ、ぃぇ..」  言うと同時に渚の後ろに駆け出す柚羽。 渚:「大丈夫かい?」  突然現れた不審な男に警戒しながら、柚羽を守るように前に出る。  遅れて後を追ってきた真紅は、男を見て驚愕する。 真紅:「おい、何やってんだ?早く行く..ぞ?って…ぉ、お前は!?」  有り得ない光景に、自分は未だ夢を見ているのではないかと錯覚に陥る真紅。 紅煉:「ヨーォ。覚えてたかァ?約束、果たしに来てやったぜェ..」  紅煉は右手を大きく挙げて真紅に視線を向ける。 渚:「なんだよ。お前の知り合いか、真紅?」  怪訝な表情で視線は目の前の男に向けたまま問う渚。  後ろに隠れながら警戒しまくる柚羽。 真紅:「くっ!知らねーよこんな奴っ」 渚:「はぁ?」  混乱した様子の真紅を見て混乱する渚。この場がだんだんとただならぬ雰囲気の様に感じ始める。 紅煉:「お喋りは、終わったか?」  ニヤリと不気味に微笑む紅煉が一歩足を進めた瞬間、真紅が叫んだ。 真紅:「渚っ!柚羽を連れてここから逃げろ!!」  言いながら、真紅は全力でこっちに向かって走ってくる。 渚:「えぇ!?」 真紅:「早くっ!!!」 渚:「わ、わかったよ!柚羽チャン!」 柚羽:「ええ!」  柚羽の手を取り駆け出そうとするが、すぐにそれは遮られる。 紅煉:「まァ、そう逃げんなよ」  紅煉の影が渚と柚羽を追いかける。異常を察してその影に飛び付く真紅は一歩間に合わなかった。 渚:「ぅわっ!?」 柚羽:「きゃぁ!!」  突然浮かび上がった紅煉の影が、渚と柚羽を捕まえて紅煉の両端まで吊るしながら持っていく。
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