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結局非情にも雨は降り続けて、ようやく雨雲が去ってくれたのはそれから2日経った頃だった。
美紗:「やっと晴れたね」
久々の太陽の光を眩しそうに、嬉しそうに眺めるお姉ちゃん。
柚羽:「でも、夏休みも後5日しか無いわ。それまで咲いてくれるか..」
快晴の空の下、ゆずの表情は未だに曇っていた。
ここまで愛情を込めて育てて来たんだ。私達が諦めちゃったらダメだ。私達が希望を捨てたら、この花も元気良く咲けない..。
美優:「信じようよ..私達の花を」
表情を曇らせるゆずと、その背に手をかけながら慰めるお姉ちゃんの二人の手を取りながら、その言葉は自然に口から出てきた。
美優:「こんなに一生懸命頑張ってお世話したんだもん。咲いてくれなかったら、、あの時の、恥ずかし損でしょ..」
言いながら雨雲さんの祈祷ごっこを思い出していた。
その後に、「うんうん、みゅうの言う通りだ!乙女を辱しめた代償は..」などとお姉ちゃんも続いてきた。誰のせいであんなことをさせられたのか..。
柚羽:「そうね、そうよね。ありがとう、みゅうにみしゃ。おかげで元気が出てきたわ」
ゆずはその様子に「ふふっ」と笑みを溢しながらようやく顔を上げてくれた。
そして、ようやくその蕾は開花の合図を出す。
夏休みも残り2日となった昼過ぎ。ゆずから電話があって、慌てた様子で「急いで泊まりの準備をして家に来て」とだけ言うと切られてしまった。
急いで準備を整えて、白銀邸へと向かった。
門をくぐると、満面の笑みを浮かべたゆずが駆け寄ってきていきなり抱き締められた。
柚羽:「花が、花がね..ついに咲きそうなの!」
その言葉に私達は顔を見合わせて喜んだ。
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