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美紗:「…(呆」
言葉を失う美紗さん。朝っぱらから母のこう天然ぶり?バカさ加減には呆れてモノも言えない…といった様子。
返事が無いことを怪訝に思った母は、再度優しくドアをノックする。
本当に起こす気はあるのだろうか?と、疑いたくなるレベルのノック音だった。
そしてそれの後を追うように、母のこれまた華にかかるような優しい声がドア越しに響き渡る。
林檎:「みぃさぁ~朝ごはんできてるわよぉー!」
その声にふぅっと一度ため息をつくと、のそっと身体をベッドから起こしてようやく返事を返した。
美紗:「もぅ~。今行くからー!」
ふと現状を思い出して、慌てて着替えてリビングに向かう。
美紗:「よいしょっと。いただきます」
時刻は既に9時を回りつつも、ちゃっかり椅子に座って朝食を食べ始めることから、やはり母の血を継いでいるのですね。
しかし、一口二口で美紗は箸を置いて立ち上がる。
美紗:「ごちそうさまっ」
母はせっかく作った朝食を残された悲しみの色を表情に込めて娘を引き留めようとする。
林檎:「あら?まだ残ってるじゃない…(悲」
美紗:「いっ、いくらなんでも朝から肉は無いでしょ!肉はっ!!」
テーブルの上に乗せられた酢豚から思い切り顔を反らしながら踵を返し、玄関に急ぐ。
林檎:「あら、好きでしょ?お肉」
本気できょとんとした顔をしながら娘を玄関まで送り出す。
美紗:「好きだけどっ!もぅ…行ってきます!」
ローファーのつま先を床にトントンしながら、ドアノブに手をかける。そこに追い討ちをかけるように母の言葉が背後から飛んでくる。
林檎:「気を付けて行ってらっしゃい。寄り道しちゃダメよ~?」
にっこりと屈託の無い笑みを浮かべている。
美紗:「…一体、アタシをいくつだと思ってんのよっ!」
美紗の言葉に、少しばかりの憂いを込めた表情を浮かべたような気がした。
林檎:「あんたも、もう17になるのよね…すっかり大人になっちゃって」
わっ分かればいいのよ。分かれば(照←と何故か若干耳を赤くしながら、バタンッと若干強めに玄関ドアを閉じて通学路を駆けていく。
正反対だけど、どこか似通った親子。
まぁ仲が良いのは良いことでしょう。
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