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.....
"真紅.."
"おい.."
"起きろ..真紅!"
真紅:「ん..?」
"オメェ、俺が見えるな?"
真紅:「ぉわっ!?誰だよあんた..!?」
目を覚ますと真っ赤な長髪が目の前に。ボロボロな黒いコートを着ている、いかにもな感じの怪しい男。なぜか、所々を鎖で巻き付けられている。
"ヘッ、俺かァ?俺ァ紅煉。そして此処はオメェの意識ン中だよ"
紅煉と名乗る男は、紅一点の荒廃した世界を背景に両手を広げて見せる。
真紅:「どーせ、ワケ分からんただの夢だろ?」
キョロキョロと辺りを見回しながら、「まったく良くできた夢だ」と自分の夢に呆れている様子。
"鋭いが、惜しいな。夢だが、夢じゃねェ.."
指をパチンと鳴らしながら、その指先を真紅に向けてオーバーリアクションに大きく首を横に振った。紅煉の体に巻き付いた鎖がジャラジャラと嫌な音を立てる。
真紅:「はぁ?」
"クククッ。オメェ、親友が居るのか..名前は、[なぎさ]か.."
真紅:「渚がどーしたんだよ?」
会話がだんだんと面倒になり、心の内で早く覚めてくれと念じてみる。すると、それを察した紅煉は不気味に笑う。
"ケケッ、そうつれない顔すンなよ。明日、オメェに良いモン見せてやるからよォ"
相変わらずのオーバーリアクションで、やれやれと両手を挙げて見せる紅煉に真紅の気だるさが増していく。
真紅:「ん?明日って..」
そう、明日は渚と柚羽を引き合わせる計画の実行日。
"クククッ。まァ、楽しみにしとくこったァ"
そう言うと紅煉は音も無く消え去っていく。同時に真紅の視界が歪んでいく..。
....
真紅:「ぉわっ..!?」
起き上がると、そこはベッドの上。
真紅:「な、何だ?今の..気味悪いぜ..」
そう言ってベッドから降り、寝癖を掻きむしりながら浴室に向かった。
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