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真紅:「うん?」
真紅が振り返ると、そこには長いリムジンが1台。黒服が運転席から降りて、後部席のドアを開ける。
真紅:「うぇ..(汗」
渚:「…」
いつもの登下校に見慣れたはずの光景だが、ここはいつになく人目につく駅前。周りの目線に呆気にとられる二人。
柚羽:「ごめんなさい。お待たせしちゃったわね」
内巻きウェーブの綺麗な長い銀髪に純白のゴシックドレスを着た少女。白いフリル付きの日傘を黒服から受け取りながら、片手をひらひらさせて二人に向かい「ごきげんよう」と微笑んでいる。とてもにこやかに。
渚:「…」
それに見とれる渚。
真紅:「時間指定しといて遅れるんじゃねーよっ!そして、普通に来いよ普通にっ!!」
周囲の目線が更に集まってきたところで我に帰る真紅。柚羽は不思議そうな表情を向ける。
柚羽:「普通に来たのだけれど..何かおかしかったかしら?」
渚:「あぁ、気にしない気にしない!」
若干シュンとした様子の柚羽を慌てて取り持つ渚は若干緊張した面持ち。隣から真紅に「気にしろよっ」と突っ込まれた言葉は届いていない。
柚羽:「ありがとう、渚。それで、今日はどこへ連れていってくれるのかしら?」
にっこりと微笑みながら期待の表情を向けてくる柚羽に、渚の胸が高なる。
渚:「ぁ、あぁ、真紅?」
真紅:「ん?」
渚:「お前、なにか計画たててたんじゃ..」
ひそひそと会話をしながら渚の顔が白くなっていく。
真紅:「んや、なんも」
その様子がおかしくて、すっとぼけモードな真紅。
柚羽:「なにを話しているのかしら..?」
その二人の様子に首を傾げる柚羽。
渚:「ぃ、いやっ、特に計画は無いんだけど..取り敢えず散歩でもして、街でも見渡そうかな~なんて..(焦」
真紅:「ああ、それも良いな!良し行こう。すぐ行こう!」
渚:「柚羽チャン、どう?」
柚羽は少し考える素振りをして、「良いわ。私も一度、ゆっくり街を巡ってみたかったところなの」と答えた。実は、長らく住んでいながら今までゆっくりと街を散策した事が無かったりする。
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