8人が本棚に入れています
本棚に追加
...
おバカな姉を迎えに行くために、家を出ること五分弱、交差点で信号待ちしている姉を発見。そんなに全力で走ったわけじゃない。
携帯も持たずに行くほど、慌てていたのではなかったのだろうか…?
あれから10分以上は経っているはずなのに、何故こんなに近くに居るのだろうか…。
そんな思考を巡らせながら姉の真後ろに立ち止まり、その背に向かって声をかける。
美優:「お姉ちゃん..」
美優は若干呆れ顔。
美紗:「みゅう?」
美紗は振り返り、若干驚き不思議顔。
信号が青に変わり、先に進もうとする姉の腕をすかさず掴みながら、「さ、帰るわよ」と冷静に声を放つ。
当の姉は可愛らしく瞳をパチクリとさせながら、「で、でも学校行かなきゃ..」なんて言ってとぼけている。お前は幼稚園児か、と内心突っ込みたくなってしまう程に可愛らしい。
私服の自分を見ても尚、逆に自分の手を引っ張り返して進もうとするのはわざとなのだろうか…?と、内心思いながら姉を現実に呼び戻す言葉を言い放つ。言いたくなかった。言う前に気付いてくれない姉を呪った。
だって、ここは大通りの交差点。人が多いんだもん。
美優:「今日は日曜日!」
瞬間、周囲の視線がこっちに集まったような気がした。いや、通り過ぎたお姉さんが一瞬こっちを見て笑っていた。
美紗:「ふぇっ!?」
驚きに脱力した瞬間を見逃さず、姉の腕を一気に引き寄せその背に両手を当てる。
美優:「もう..恥ずかしいからさっさと、帰るっ!」
全て言い終える前に姉の背中を押して猛ダッシュ。さすがに抱えて走る腕力は持ち合わせていない。姉ならば、その気になれば自分を抱えてダッシュする事も出来そうな気もしなくないけど。
美紗:「ちょっ、みゅう~転んじゃう~っ(焦」
押されながら情けない声を出す姉はちょっと可笑しかった。でも、甘やかしちゃダメだ。ゆっくり歩いてなんかいたら、寄り道したがるから。
美優:「転んでも良いから走って走って!」
気付くと家まであと200メートル程の地点まで着いていた。少しスピードを落とすと、姉の背中が手から離れていった。
美紗:「むぅ~..よぉしっ、競争よっ!」
言いながら姉は逆にスピードを上げて走っていってしまう。家(ゴール)を通り過ぎて一体どこを目指して走る気なのだろうか…。
最初のコメントを投稿しよう!